円覚寺 塔頭 雲頂菴

菴主の話

雲頂菴という寺を守る住職として、日々考えていることをお話していきます。

緑を守る〈3〉

雲頂菴の庭には牡丹がたくさんあります。
その牡丹を咲かせるため、肥料をやり、一所懸命に消毒をしていたら、土壌を痩せさせてしまいました。
微生物が存在し得ないような状況になってしまったのですね。
だからもう、この土壌で生きていかれる牡丹だけ残ればいいやと思って消毒は止めました。

そうやって人工的なものに頼らないでいますと、地中のバクテリアから虫がわいてきます。
すると、そこに野鳥が飛んで来る。

 
早朝、私がお墓に行ってちょっとお参りしていると、アオゲラが杉の木に止まり、虫を捕るために幹をつついたりしています。
カンカンカンカンカン…とつついて、虫が出てきたらピューっと食べて、螺旋状に上がってゆく。

それから、メジロも来る。
スズメ、アオジ、ジョウビタキ、キビタキ、アカハラ、シロハラ、モズ、ウグイス、ヒヨドリ…名前も知らない野鳥も、たくさん空を舞っています。
野鳥は、そこにどのくらい自然が残っているかのバロメーターだなと、つくづく感じます。

このように野鳥がたくさん寄って来るのは、虫がつきやすい椿や山茶花(さざんか)も消毒せず、できるだけ自然の状態にした結果なのです。
刈り込みをちゃんとして、風通しを良くし、ちょうど野鳥が捕ってくれるぐらいしか虫が発生しないように手を入れています。

 
結局、「消毒をしない」ということが、あらゆることに繋がってゆく。
墓地などは特にたいへんですけれど、人の手で草取りをしています。
「除草剤をまかないでください」と頼んだら、隣のお寺さんの住職も賛同してくれました。

 
ただ放置しているのではなく、人間が適度に手を入れてゆく自然。
それは、二次的、三次的な自然なのだと思うけれど、そういう環境にしておくと、結果的に緑が守られてゆくのです。

 
※アオゲラ:緑のキツツキ。屋久島から本州に分布する日本固有種。木をつつき、虫を掘り出して餌にしている。

 

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