円覚寺 塔頭 雲頂菴

菴主の話

雲頂菴という寺を守る住職として、日々考えていることをお話していきます。

看々臘月尽(みよみよ ろうげつつく)

今日は掛け軸についてのお話です。

jiku_20141211

「看よ看よ 臘月尽く」
朝比奈宗源(あさひなそうげん)/筆

出典は、中国南宋時代の臨済僧である虚堂智愚(きどうちぐ)の語録を編集した『虚堂録』。香林澄遠(きょうりんちょうおん)という禅師の言葉として収録されています。

 
私の師匠、朝比奈宗源老師は、12月に入るとこの言葉のことを強くおっしゃっていた。
「もたもたしていたらもう12月だ。すぐ年が替わってしまう。
それで、この看々臘月尽だ!」
「お前この1年、何やってきた?
1日1日しっかり精進しないと、いたずらに歳を重ねるばかりだぞ」

修行を始めたばかりの多感で一途な時に言われたから余計、印象に強く残っているのかもしれません。

 
臘月(ろうげつ)とは陰暦12月のことです。
「みるみるうちに年が暮れようとしている」ということですが、合わせて「うかうかしていると、あっという間に人生の幕がおりてしまう」と諭している。
「光陰惜しむべし」という語よりもっと厳しい意味です。

人生の臘月に悔いを遺(のこ)さないように。
つまらぬことに心を奪われることなく、一日一刻を大切に生き抜き精進せよという思いが託されています。

私は12月に入ると必ずこの軸を掛け、自分を戒めてきました。

 
 
※朝比奈宗源(1891年~1979年):明治、大正、昭和期の臨済宗の僧。号は別峰(べっぽう)、平等軒。京都妙心寺や鎌倉円覚寺などで修行。臨済宗円覚寺派管長。世界連邦日本仏教徒協議会会長。また、人気テレビ時代劇に題字を揮毫したことでも知られる。
 

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