円覚寺 塔頭 雲頂菴

菴主の話

雲頂菴という寺を守る住職として、日々考えていることをお話していきます。

雲頂菴のお正月〈1〉

お正月はたぶんどこの寺でも多かれ少なかれ、お檀家や信者の皆さんからお年始を受ける立場になると思います。
昔は、床の間を背に住職が座り、一杯一杯お酒を受けて飲んでいたのだそうです。

雲頂菴でも、酒が好きな父が住職だった当時は、朝早くから夕方、夜まで、人がひっきりなしにお年賀にお見えになっていました。
やがて、「どうせ皆来るなら一堂に集まったらどうだ」ということになり、私が物心ついた頃には、お檀家の新年会をやっていました。

実はね、正月には200人くらいの方々が雲頂菴に来るのです。
それで私は、これだけ集まるのだから、ただの新年会ではちょっともったいないなと思って、新年の「総供養の会」にしました。

ちょうど神社に初詣をするついでもあるのだろうけれど、年の初めをご先祖と一緒にお寺で迎えたいという人は少なくない。
普段はちっとも雲頂菴へお参りに来ないのに、お正月には家族でいらっしゃる人もいるのですよ。

ご先祖や皆と共に新年を祝おうという「総供養の会」——五月雨式にお年始においでいただくよりは、すごくいいなと自分でも思っています。

お経を読んでご祈祷し、皆で新年のささやかな料理を食べます。
そして、「葷酒(くんしゅ)山門(さんもん)に入るを禁ず」 なんて言いながら、新年だけはお酒を振る舞うのです。
私はダメだけど、飲める方は皆さん飲んでいってください……そういうお正月の会です。
 

—— 引き続き明日も、この話を続けます。
 

※ 葷酒山門に入るを禁ず:禅寺門前の戒壇石などによく刻まれている言葉。「禁葷酒入山門」。
葷(ニンニク・ネギ・ニラなど精力がつき、香りの強いもの)や酒は修行の妨げになると考えられ、ご法度とされた。

 

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