円覚寺 塔頭 雲頂菴

菴主の話

雲頂菴という寺を守る住職として、日々考えていることをお話していきます。

円覚寺涅槃図(ねはんず)

毎月、掛け軸の回を決め、禅語の解説などを試みております。
いつもは雲頂菴のお軸をご紹介していますが、今回は2月15日の涅槃会(ねはんえ お釈迦様のご命日の法要)にちなみ、涅槃図にまつわるお話をいたします。

「仏涅槃図」
絹本着色 縦272.0×横185.8cm 鎌倉時代 重要文化財

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涅槃図は、お釈迦様の涅槃…すなわち入滅の情景を描いた絵画です。
沙羅双樹(さらそうじゅ)の下に横たわるお釈迦様を囲んで、集まった仏弟子をはじめ多くの動物たちまでもが嘆き悲しんでいます。

ほかの宗教の教祖様の死がどういうふうに扱われているか、私はよくわかりませんが、お釈迦様の場合は、まさにその肉身を寝台に横たえて涅槃に入ります。
食事の供養を受けた結果、お腹をこわして亡くなるという筋書きなのです。

戦国時代の武将が「俺の死は3年隠せ」と遺言した話など、一般には「死」を隠すというか忌み嫌うこともよく言われます。
しかしお釈迦様は、死を隠す必要はない、忌み嫌う必要もない、寂しくなる必要もない。
私の肉身は今、滅び朽ちていく。けれども何も心配ない。私の本質は永遠なのだ。私の教えも真理そのものなのだから永遠なのだ、と、自分の死をもって、最期にその教えをきちっと示されている。
涅槃図には、そういうお姿が表されています。

私も憶えましたが、有名な『平家物語』の冒頭部分に
「沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理(ことわり)をあらわす」
という一節があります。
沙羅双樹とは、その名が示すように2本ずつ相対して生える樹です。
涅槃図には南北東西に2本ずつ、計8本描かれています。

それから、お釈迦様が入滅される時、頭を北向きにして臥(ふ)したと言われています。
人が亡くなった時、北枕にして寝かせるのは、その姿勢にならった作法とされています。
 

――引き続き明日も、涅槃図の話をします。
 

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