円覚寺 塔頭 雲頂菴

菴主の話

雲頂菴という寺を守る住職として、日々考えていることをお話していきます。

お釈迦様の教えを象徴する「花まつり」

先週の水曜日(4月8日)、円覚寺の仏殿で、お釈迦様の誕生を祝う「降誕会(ごうたんえ)」が行われました。
降誕会の日には、仏殿の中央に「花御堂(はなみどう)」という小さなお堂を設け、山内の和尚方や雲水衆が屋根いっぱいに色とりどりの花を飾ります。
そして花御堂の中に甘茶(あまちゃ)を満たした灌仏桶(かんぶつおけ)を置き、中央に安置した誕生仏の像に柄杓(ひしゃく)で甘茶をかけてお祝いします。
この法要は、「花まつり」の名でも親しまれています。

一般的に、どうも仏教は抹香臭い印象があるようです。
一方、キリスト教は、クリスマスやウエディングなど、何か華やかなイメージがある。
しかし実は仏教も、「花の宗教」なのです。

お釈迦様は、ルンビニ(インド国境に近いネパールの村)の花園で、花に囲まれ、非常に穏やかにお生まれになりました。
その後いろいろなことがあって修行をし、悟りを開いたのは菩提樹の下でした。
お寺でよく菩提樹の木を植えたり、菩提樹の実を採って数珠にしたりするのは、そこに由来すると思います。
その修行した内容を、お釈迦様は当初、自分ひとりのものにしていたのだけれども、宇宙全体の運行をつかさどっている梵天(ぼんてん)が出てきて、
「お前はそれを、皆に広く知らしめなければいけない」
と告げたといいます。
お釈迦様が悟った教えそのものを、人々に与えなさいと勧められたのですね。
これは「梵天勧請(ぼんてんかんじょう)」という説話で伝えられています。

お釈迦様は布教を始め、祇園精舎や竹林精舎など、熱帯のインドにあっては、オアシスのようなところで人々に説法をしました。
そして、お釈迦様が亡くなったのは沙羅双樹(さらそうじゅ)の木の下でした。
つまりお釈迦様の生涯を通じて重要な節目は、豊かな緑や花に囲まれて、いつも穏やかだったのです。

そういう穏やかさがとても大事なのです。
花御堂を彩る花々には、お釈迦様の教えの穏やかさを伝える意味もあるように思います。
 

――引き続き明日も、この話をします。
 

コメントはまだありません