円覚寺 塔頭 雲頂菴

菴主の話

雲頂菴という寺を守る住職として、日々考えていることをお話していきます。

三級浪高魚化龍(さんきゅうなみたこうしてうおりゅうとかす)/痴人猶戽夜塘水(ちじんなおくむやとうのみず) 〈2〉

昨日は、滝を上り切った鯉が、龍になって天上する伝説についてお話しました。

下の句の「痴人(ちじん)猶(なお)戽(く)む夜塘(やとう)の水」というのは、もたもたしている人の話です。
鯉が浪(なみ)を突破して天上したのを知らず、
「たしか昨日、この辺に大きな鯉が一匹いたはずなんだが」と、
一所懸命に滝つぼを掻(か)い掘りしているような者のことを言っています。
掻い掘りというのは、水をすくい出し、浅く少なくしておいて魚を捕まえる漁の仕方です。

「鯉はとっくに天に上ってしまっているのに、使えない奴は、その程度のことしか思いつかない」
詩の中で、このようなオチがついているわけです。
 

失敗して落っこちた鯉が、滝つぼであっぷあっぷしていることを、朝比奈老師は点額(てんがく)と言っていました。
これは中国の科挙(かきょ)という、官吏の試験制度からきた例えです。
昔、羽根つきなどして負けると墨をつけられましたが、それと同じです。
科挙の文官試験に受からなかった人を、点額して(額にぼちをつけられて)帰ると言ったのです。

「うまく上れないのはペケなんだよ」
という表現でもあるけれども、実際に言いたいことは、下の句で示されている、
「もたもたして、目端(めはし)がパチっと利かない者はダメだよ」
ということなのでしょう。
 

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