雲収山岳青(くもおさまりて さんがくあおし)
今日は掛け軸についてのお話です。
古川堯道(ふるかわ ぎょうどう)※/筆
中国北宋代の臨済僧である瑯琊慧覚(ろうや えかく)の句です。
「日出乾坤耀 雲収山岳青」
(ひいでて けんこん かがやき くもおさまりて さんがくあおし)という対句になっています。
日が差して雲が晴れてゆき、青々とした山肌が現れてくるという、たいへん美しく快い自然の光景が詠(うた)われています。
私たちの心を曇らせる迷いが取り払われると、本来備わっている仏性が鮮やかに輝き出します。
「雲」を煩悩(ぼんのう)に、「山岳」を仏性(ぶっしょう)になぞらえて、仏性が明らかになった悟りの境地を表しているとも解せる句です。
※ 古川堯道(1872〜1961):明治、大正、昭和期の臨済宗の僧。諱(いみな)は慧訓(えくん)。号は堯道、毒狼窟(どくろうくつ)。円覚寺212世、円覚寺派第6代管長。擔板漢(たんぱんかん)と評された。