円覚寺 塔頭 雲頂菴

菴主の話

雲頂菴という寺を守る住職として、日々考えていることをお話していきます。

盂蘭盆会(うらぼんえ)

お盆」のことを、私たちは「盂蘭盆会(うらぼんえ)」と言います。
この言葉はもともと、「ウラバーナ(ullmbana)」というサンスクリット語(古代インドの言語)でした。
それを中国人が音訳して盂蘭盆会としたのです。

ウラバーナ」は、「逆さ吊りの苦しみ」という意味なのだそうです。
つまり、両足首を紐で縛られて、高い木に吊るされた時の苦しみだという。

お釈迦様の弟子に、目連※1尊者(もくれんそんじゃ)という方がいらっしゃいました。
ある時、自分が修行で得た能力を使って祖先たちのいる世界を見てみたら、驚くべきことに亡き母が餓鬼道に堕ちていました。
何かの報いを受け、逆さ吊りにされて非常な苦しみを味わっている母の姿を見た目連は、悲しみのため泣き叫んだといいます。

戻ってこのありさまを訴えたところ、お釈迦様は告げられました。
「目連よ、心配することはない。
もうじき安居(あんご)の期間が明けて、多くのお坊さんたちが外に出ることを許される。
その時、ひとりでも多くのお坊さんたちを招いてお経を上げてもらいなさい。
この功徳によって、逆さ吊りにされた母や祖先は必ず餓鬼の苦しみから解放されるであろう」

インドの季節は、雨季と乾季に分かれています。
足元の悪い雨季、僧たちは行脚(あんぎゃ)※2をしないそうです。
皆、雨季の3か月間は1か所に留まって修行する。
それを日本では、安居と言っています。

今でも、禅宗の修行形態で3か月−約100日−を「禁足(きんそく)」とし、修行道場から出ないで修行に打ち込むのは、インド古来の伝統によると言われています。
四季のある日本では、雨季だけでなく夏と冬に安居の期間を定め、修行に専念します。
円覚寺専門修行道場(僧堂)は、これを雨安居(4月〜7月)、雪安居(10月〜1月)としています。
 

——引き続き明日も、お盆の話をします。
 

※1 目連(生没年不詳):紀元前5世紀頃のインドの僧。目犍連(もくけんれん)とも言う。釈迦の十大弟子(2015年2月17日 注釈参照)のひとりで、神通(じんずう)第一と称された。

※2 行脚:僧侶が仏道修行または布教のため、いろいろな地方を巡り歩くこと。
 

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