円覚寺 塔頭 雲頂菴

菴主の話

雲頂菴という寺を守る住職として、日々考えていることをお話していきます。

施餓鬼(せがき)とお盆

施餓鬼(せがき)」とは、餓鬼道に堕ちてしまった一切の衆生に施(ほどこ)しをするということです。
この施餓鬼とお盆は本来違うものなのですが、「盂蘭盆会(うらぼんえ)の大施餓鬼法要」というふうに一体的に行なわれたり、理解されていたりしています。
円覚寺で毎年8月16日に行なう「山門施餓鬼会」では、方丈のほか、昔修行の途中で亡くなった僧たちの墓前でお施餓鬼供養をします。

山海の珍味をお供えし、丁重に供養を重ね、「餓鬼となった魂を救いたい」という思いを形にするのが施餓鬼会(せがきえ)です。
中国では古くから水陸会(すいりくえ)という法会(ほうえ)が行なわれていて、円覚寺の五百羅漢図にも出てきます。
施餓鬼は、この法会とも関わりがあるそうです。

施餓鬼がお盆と根本的に違うのは、一年中、とくに時節を選ばないということです。
そのため、4月や5月に施餓鬼会をしているところもあります。
しかし、飢餓に苦しむ餓鬼道の魂に思いを寄せた供養というところは同じなので、日本ではお盆と一緒に行なわれることが多いのだろうと私は想像しています。
 

私たちは「お盆」とひとくちに言っています。
けれども実は、盂蘭盆会や施餓鬼、古来の祖霊信仰、棚経など、いろいろな習俗が一体となった行事なのです。
たぶん今の日本人は、それらを全部なんとなく一括りにして「夏の風物詩」というふうにとらえているのだと思います。
 

※ 水陸会:飲食物を水辺や大地にまいて施し、諸霊をあまねく救おうとする法会。
 

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