円覚寺 塔頭 雲頂菴

菴主の話

雲頂菴という寺を守る住職として、日々考えていることをお話していきます。

お盆の修行

お盆の期間、私は何軒ものお檀家さんのお宅へうかがい、朝から晩までお経を繰り返し唱え続けます。
ですからこの時期は、いつも以上にちゃんと体調をととのえておかなければなりません。

私ひとりでまわっていた頃は、朝6時に寺を出ていました。
唱えるお経は正味10分弱ですが、ご挨拶をしたり、お茶を飲んでいたりしたら、1軒で15分以上かかります。
次のお宅まで歩きや車で移動しますが、それも含めて平均20分とすれば、1時間にまわれるのは約3軒です。
そうすると、お昼抜きで10時間読み続けても、1日おおよそ30軒まわるのが精一杯ということになる。

ですから、
「和尚さん、せっかく来たって、ゆっくりいてくれないじゃないか。
それじゃあ、ちょっとつまらないし、お迎えしている気がしない」
などと言われるのだけれど、うかがう予定の軒数からすると、それぞれのお宅ごとに濃密な話をしてゆくわけにはいかない事情があるのです。

ですが、その短い時間でも、
「あぁ、赤ちゃんが生まれたんだ!」
というような、1年の大きな変化を感じ取れます。

外と家の中でかなりの温度差がある真夏、1日何軒ものお檀家さんをまわることは、いろんな形で試練です。
声を枯らし、喉を痛くしながら、命がけでお経を読む。
それは、私たちの修行でもある。
私は毎年、「お檀家の方が、私たちを磨いてくださるんだな」というふうに感謝することで乗り切ってきました。
 

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