円覚寺 塔頭 雲頂菴

菴主の話

雲頂菴という寺を守る住職として、日々考えていることをお話していきます。

お盆の思い出

私は小学生の頃から、お葬式の手伝いなどをずっとしていました。
普段は一人で行くことなどなかったけれど、お盆の時期は、父の代りにお檀家さんのところでお経をあげていました。

幼い頃の夏休みはずっと、父の郷里である富山で過ごしていた私でしたが、9歳のお盆からは、父に言われてお檀家さんをまわり始めました。
ですからもう、50年以上もお盆にお経をあげていることになります。

子供だった私は、父にずっと「イヤだ」と言い続けていました。
けれども、「お前は私の代理なのだから、堂々として行けばいいんだ」と送り出されました。
そして迎えてくれるお檀家の人たちも、「ああよく来たな! お坊さん、こっちだぞ」って、可愛がってくれたのです。

「今日は息子さんの日なのか…」ってがっかりしない。
もし「何だ…小僧さんが来たのか」なんていう声が漏れ聞こえていたら、私はたぶん挫折していたでしょう。
まぁ、それぞれ心の底でどう思われていたかはわかりません。
笑い話として、
「うるさい和尚が来るより、息子さんが来てくれる方がよっぽどいい」
などとおっしゃる方もいました。

その頃は、「坊や、坊や」って言われて、「坊や、今日はここでお昼食べていきな」というふうに、本当に良くしていただいた。

お檀家の方々は小学生の私に対しても、「お寺のお坊さん」として、ちゃんと敬意を払ってくださいました。
ですから私は、父だけでなく、そういう皆様にも育ててもらったのだと感謝しています。
 

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